バレンタインの夜
思い描いたシナリオ通りにいかないのは、オリンピック選手でない一般人でも同じ。
今日悔しくやりきれぬことがあり、自分自身に腹が立ち、帰りに駅でさくさくパンダ購入。嫌なことがあったときは普段スルーするお菓子を食べれるという自分に対する慰めをあげている。このときばかりは罪悪感と自責の念に駆られずにチョコでもなんでも食べれるから、どうだ。中々ラッキーでしょと自分自身に言い聞かす。
そのまま新橋から新宿へ向かう途中に、コンビニでアルフォート購入。「これもお願いします」と、誰かがレジの前に置きっぱなしにしたパックンチョも店員さんにサラリと手渡した。あのときの私、ここ最近で一番決断力あったと思う。
なんだやればできるじゃん、と新橋のホームでぱっくんちょを食べる。
あの店員さんがちょっと妙な顔をしてたけど、今日はバレンタインだから誰かに買ってくのかなと想像してくれたかなあと、ちょうどいいストーリーまで出来上がっててこの上なく幸福。ちなみに今日の悔しさはバレンタインに関係ない。
でも新橋のホームでぱっくんちょ食べる30歳になってしまったことには関係がある。
ついこないだ、30歳になった。
なったときは清々しくて、一緒の事務の人に心境を聞かれた時には「何にも変わんないですねえ」と言ってのけたけど、そのコメントは実は借り物。
確か昔、深田恭子が言ってたヤツ。それか週刊文集の原色美女図鑑に出てきた綾瀬はるか。「30になったら、変わらなきゃって思ってた自分自身に気付いたんです。でも実際なんにも変わらないですね」そういやガッキーも言ってたな。30が楽しみだって。あれ?なんか女優ばっかり。
今思えば、彼女たちは20代のバーを越えても変わらなくていい確固たる何かを築き上げた上にいるから言えるコメントなのであって、ぱっくんちょとアルフォートとさくさくパンダ買ってしまう30歳はそうものたわれない。意外と変わらない現実は、絶望でしかない。30なのにっていう重さがそらあ半端じゃない。蛍光灯で作られた木の黒い影見るだけで泣きたくなる。
30は重石だ。自分を軽くしないように、乗っかってくる重石。
これもいつか若気の至りだって言えたりするんだろうか。
夜に書く日記はロクなもんじゃないらしいからもう寝よう。
明日はきっとチョコで胃もたれだな。